介護求人事情

2023年6月6日

介護職は本当に人材不足なのか

3Kなどと言われ続けてきた介護職。介護職の求人の実態はどうなっているのだろうか。

厚生労働省 令和4年版 労働経済の分析 -労働者の主体的なキャリア形成への支援を通じた労働移動の促進に向けた課題-の中の「第2-(1)-5図 介護・福祉分野の有効求人倍率の推移」 下図

厚生労働省の分析資料からも、全職種の有効求人倍率にくらべて約3倍となっている。

「資格」があれば、一人の介護職を3件以上の事業者が奪い合う状態であり、間違いなく人手不足である。

介護職の定着率が問題なのか

介護職は離職率が高い!と思われていますが、実際は違います。

平成19年に離職率21.6%でピークを迎えた後は減少傾向にあり、令和3年度には14.3%と減少傾向が続いてきています。

『令和3年度介護労働実態調査』(介護労働安定センター)、『令和3年雇用動向調査』(厚生労働省)資料より

つまり、辞める人は減ってきているがやはり人は足りない状況です。

給与はどうなっている?

介護職の給与は、他の事業に比べてやはり低いです。

国税庁が行った「民間給与実態統計調査(令和3年分)」(令和4年9月発表)によると、全業種の平均年収が443万円あまり。

介護職の平均年収352万円くらいなので、その開きは90万円。  参考:厚生労働省の「賃金構造基本統計調査」(2021年)

これは、介護報酬に規定により、給付、人員基準など様々なバランスの中で、介護職員の給与を上げることができにくい構造が起因しています。

施設又は事業所を開設し、基準を守り、稼働を上げても限界があります。介護報酬以外の収入源もそれほど選択肢はありません。

だから、他の業種ほどの給与を示すことができないのです。

骨太の方針により介護報酬と職員の処遇はどうなるのか

6月16日に「経済財政運営と改革の基本方針2023 加速する新しい資本主義~未来への投資の拡大と構造的賃上げの実現~」(いわゆる「骨太方針」)が閣議決定されました。

ここには、介護報酬の次期改定にむけて「必要な対応を行う」とあります。「効果的・効率的に対応する観点から検討を行う」とも。

一つ大切なことが示してありました。

医療介護分野における職業紹介について、関係機関が連携して、公的な職業紹介の機能の強化に取り組むとともに、有料職業紹介事業の適正化に向けた指導監督や事例の周知を行う。

「経済財政運営と改革の基本方針2023 加速する新しい資本主義~未来への投資の拡大と構造的賃上げの実現~」

介護人材に対する、有料職業紹介事業の手数料が、介護業界を圧迫し職員の給与を圧迫しています。

ある事業体から、紹介成約時の費用について

介護福祉士 常勤 300,000 → 200,000円

というFAXが届きました。「今なら30%以上OFF」と

介護福祉士の常勤さんを200,000円で買うイメージです。

そんな費用を払っていたら、ますます職員の給与を上げることができなくなります。

アズでは求人サイトへの掲載依頼を行っていません。

求人票を職業安定所に提出すると、すぐに求人サイト運営会社から営業電話がかかってきます。

有名な会社から、全く聞いたことがない会社まで。

電話口で「そういうのは御社だけでなくすべてお断りしております。申し訳ございません」とお伝えします。

不快な思いも、詐欺もお断りですが「月2万円」とかの広告FAXが来ても無視します。

「実際に採用できた時だけ年収の30%」と言われてもお断りします。

現在弊社の正社員の年収は300万円オーバー(見込)ですので、手数料が90万円です。

毎月2万円の求人掲載も、効果不明のサブスクリプションです。

そんな無駄な経費を払うくらいなら、職員さんに還元したいです。